神々に呼ばれる旅・屋久島旅行編① ~トッピー船で上陸~
屋久島に行くには、幾つかの準備が必要である。
私が旅立つ前に、疑問に思ったことは主に次の3点だった。ガイドなしで縄文杉を見に行くことは可能か。(その際の)食料、水は現地で確保できるのか。必要な装備は何か。
屋久島編では、この疑問を踏まえて、3日で計画を立て、屋久島を巡った旅の逸話を披露しようと思う。
もしも、この先、屋久島に行ってみたいと思っている方がいたら、何かの参考になると思うので、ぜひ最後まで見ることをおすすめする。
まず、縄文杉トレッキングを目的にするなら、レンタカーと観光バスいう選択肢は除外することが第一である。そこから、すべての時間配分を考えよう。
なぜ、車がダメかと言えば、詳しくは下記のリンク先を見ていただきたいが、近年の縄文杉登山者の増加で、山岳部は深刻な環境問題が発生しているからである。
2012年には7千人(3~11月)が、GWなどシーズン時は1日で1千7百人もが縄文杉を目指すという。過剰な車両乗り入れにより、混雑や排気ガスによる環境破壊を招いている。
屋久島は早ければ2013年より入島料を徴収する方針だそうだ。
『世界遺産の島”屋久島が未来永劫にすばらしい自然を保てるよう、皆様のご協力をお願いします』
荒川線では、環境負荷の軽減と混雑緩和のため、縄文杉登山の一般車両乗入れを、シーズン(3~11月)中、終日規制している。
ちなみに荒川線というのは、荒川登山口へ向かう道程のことで、荒川登山道は縄文杉を目指すのに一番近くて、一番一般的な登山ルートである。トロッコ道を8km、山道を2.5kmの片道10.5km、往復で21kmのルートで、普通に歩けば登りが約5時間、下りで約4時間半(山に慣れた者なら登りも下りもマイナス1時間は可能)といったところだが、混雑時はトロッコ道も山道も渋滞して、まったく進まない。加えて、雨に降られると(屋久島は雨がつきものの島である)、10数時間は雨に打たれてののろのろ登山となるので、体も冷えて、体力を奪われる。天候に恵まれないと、想像以上に厳しい行程となるだろう。
また、車を使うと、登りと下りで、車両乗り入れ規制区間の4kmずつの行程が増えるため、環境に配慮することももちろんだが、体力のことも考えて、レンタカーと観光バスは避けることをおすすめするのである。
荒川登山口から縄文杉を目指すコース (クリックするとリンク元へ) |
荒川登山口までの車両乗り入れ規制区間 (クリックするとリンク元「鹿児島県屋久島町」のウェブサイトへ) |
さて、ここから、ペースを落として、実際の私の行程を順を追ってお話する。
まず、私が利用したツアーはJ-TRIP(ジェイトリップ)の屋久島ツアーである。ジェイトリップは飛行機と船の便とホテルが選択自由のプランが充実しており、またオプションで縄文杉トレッキングツアーが追加できる。体力や予算に合わせて行程を選びやすく、便利である。
朝一番の飛行機でまず鹿児島空港へと向かった。
なぜ朝一番かといえば、もちろんそれが一番お得だからである。追加料金が発生しない。6時10分に出発するので、始発電車で家を出ても間に合わない。しかし、羽田空港は安易に一夜を過ごすことが可能なのである。
ビジネスホテル(下記にリンク先有り)もあれば、休憩室もある。有料施設を使わなくても、国際線ターミナルに行けば、24時間開いている。
・ファーストキャビン 羽田ターミナル1
また、朝一番の飛行機に乗るのは、経済的にお得、以上の付加価値がある。以下、テイクオフ時の写真を大量に掲載するので、付加価値考慮の参考にしていただければ幸いである。
羽田から鹿児島へと向かう飛行機 |
旅の無事を羽田神社に祈願 |
国内線ターミナル 24時で閉まる |
無料連絡バスで国際線ターミナルへ移動 |
国際線ターミナルで朝を待つ人々 |
シャワールームと休憩室 1時間千円 |
木の下のベンチで朝を迎える |
朝の5時に国内線ターミナルへ戻る |
保安検査場を通過 |
搭乗ゲートへ |
鹿児島に向かって |
朝日とともに離陸 |
朝日を見ながらのテイクオフは感動的であった。機体が加速して浮揚したあとの、あの朝日を飛び越えて飛翔してゆく瞬間の光景は筆舌し難いものがある。たとえ一晩の睡眠と引き換えにしても、あれは体感するべきである。
JAL他、各航空会社で事前の座席指定ができるので、ぜひ東の窓際を選んで早朝便に乗っていただきたい。
鹿児島に到着したら出口を出て2番バス乗り場へ向かう。鹿児島空港から屋久島行きの飛行機も出ているが、鹿児島港南埠頭から旅客船での屋久島上陸を目指すのである。
なぜならば、このコースが、経済的にお得、だからである。
それから、朝日と同じように、それ以上の付加価値があるからである。
屋久島の人々は船の到着時間を知っている。便数が少ない(フェリーは1日1便)ので、島に来る者の時間、島を去るものの時間を知り尽くし、それに合わせて生活を営んでいる。
私が宮之浦港に到着したときは、宿に向かう途中で、買い物に出かける途中の宿主に声をかけられた。突然、車の中から老年の女性が話しかけるので、何かと思ったら、
「やっぱりうちのお客さんね。そろそろ来る頃だと思ったから、心配していたの」
顔を知りもしないのに、私の姿を探していたのである。会えてよかった、と嬉しそうに笑っていた。
島を去るときは、その時間に合わせて、購入したお土産(預けていたのである)を用意してくれた食堂の主人がいた。港への近道(帰りの便が見渡せる絶景の・・)を丁寧に教えてくれた。
生活に船が根付いている。また、フェリーの出航時の「蛍の光」に、船に繋がれたカラフルなテープが風に舞い、島から遠ざかっていく様。そして、汽笛の音。屋久島の旅をより情感深く味わいたいならば、ぜひ空路よりも航路をおすすめする。
鹿児島空港に到着 |
南国だけに椅子もカラフル? |
鹿児島市内ゆきのリムジンバスに乗って 鹿児島港南埠頭旅客ターミナルへ |
現在地はここ(要拡大) |
鹿児島空港 |
バスの時間まで1時間ほどあるので空港から徒歩5分の西郷公園へ 薩摩藩の別邸を彷彿させる門構え |
西郷さんお出迎え |
ひょうたん展が開催されていた |
庭には高さ10.5メートルの西郷像 巨大に感じた |
リムジンバス 南埠頭まで1200円 |
鹿児島中央駅を通過 (バスの車窓より撮影) アミュプラザの観覧車がやけに目立っている |
南埠頭高速線ターミナル到着 |
出航を待つ人々 |
ここで乗船手続きをする |
行きに乗った高速船トッピー 2時間弱で屋久島へ |
高速船乗り場とその向こうの桜島 |
乗船切符 |
時間が来ました |
トッピーに乗り込む |
桜島を見ながら |
屋久島到着 |
船で屋久島宮之浦港に着いたら、翌日の縄文杉トレッキングに備えて幾つかの準備をする。
①荒川登山バス券・縄文杉荒川線利用チケットの購入
②早朝弁当の予約
③(場合により)タクシーの予約
④(場合により)フリーバスチケットの購入
③は縄文杉トレッキングのあとに、こちらも屋久島の名所である白谷雲水峽を巡る場合。路線バスの最終便の時間までに縄文杉と白谷雲水峽の両方を巡るルートを行くのは時間的に厳しいので、1日で両方見たい場合は帰りだけタクシーを利用すると良い。ちなみに白谷雲水峽から宮之浦までの運賃は2600円から3000円程度。
④は最終日にヤクスギランド、紀元杉を見に行く場合。
屋久島旅行はたいてい2泊3日のツアーが多いが、到着日と出発日は半日の観光になるため、オプションツアーに申し込まない限り、本数の少ない路線バスで(ヤクスギランドや白谷雲水峽など有名どころ)の半日観光をするのは難しい。
屋久島は見所が多い。縄文杉トレッキングだけでも十分だが、もし別の観光地も見たいと思うようであれば、オプションツアーではない、登山バス券とフリーバスチケットを使っての、最終日にヤクスギランドに向かうコースをおすすめしたい。
そこまでしなくていい、と思う方は、とりあえず①と②を準備する。
縄文杉トレッキングに欠かせない荒川線登山バスのチケット購入。(これは登山日の前日までに用意しないとならない)
それから、早朝弁当の予約である。(こちらも前日のだいたい18時頃までに予約する)
登山バスチケットを入手する販売所は、下記リンク先に記載されている。
・荒川登山バス券・縄文杉荒川線利用チケットの購入
私の場合は、宮之浦港から徒歩5分の屋久島観光センターを利用した。
その前に、観光センター手前の環境文化村センターへ向かう。ここで、屋久島の主要路線を走るバス会社、まつばんだ交通と屋久島交通の時刻表や、宮之浦の市街地図など、一通りの印刷資料を揃えることができる。
揃えたら、観光センターに行って、①の登山バスチケットを購入する。
それから、翌日の弁当を予約する。屋久島はトレッキングに訪れる観光客が多いので、この早朝から開いているお弁当屋さんがとても多い。前日に予約すると、当日の4時頃から弁当を受け取ることができる。朝用と昼用があり、価格は朝用弁当が500円、昼用が600~650円程度。その早朝弁当を持って山へと向かうのである。(コンビニは一応あるものの数が少ないので利用しないようだ)
宮之浦港で有名なのがよく本や雑誌で紹介されている「島むすび」さん。宮之浦バス停の真ん前で利用しやすいのが「八百八」さん。下記の、飲食店一覧のページのリンク先に連絡先が載っているので、ぜひ参考にするといいだろう。
・屋久島観光協会 (このサイトは必須 各種資料が揃う)
・上記サイトより 飲食店一覧のページ (早朝弁当予約)
下記は参考程度に・・
・屋久島観光センター
・屋久島観光文化村センター
屋久島到着 トッピーを降りる |
宮之浦港 |
到着後すぐ目の前に巨大な切り株が見えて、ぎょっとする (わかりづらいが写真中央) ウィルソン株のレプリカだそうだ |
宮之浦港の景色 |
宮之浦港の景色 |
宮之浦港の景色 |
世界遺産の記念碑 |
屋久島環境文化村センター ここでバスの時刻表から宮之浦の地図から 資料を無料で揃えられる |
屋久島観光センター 宮之浦港から徒歩5分 ここで登山バスチケットをゲットする |
今夜の民宿 山ん神さんのロッジ風の離れの部屋 |
宮之浦港や空港まで頼むと送迎してくれる 登山用品もレンタル可能 |
荷物を置いて観光へ出る 宮之浦バス停前の屋久島特産品協会で屋久杉の土産品を物色 |
特産品協会となりの丸高水産さん こちらも有名 |
宮之浦港の魚はここが一番手に入るのだそう(板さん談) |
宮之浦から永田行きのバスに乗っていなか浜へ |
ウミガメの産卵地で知られているが ウミガメが来るは5月から7月 |
夕日にはまだ少し早い |
最終バスの車窓から島の夕景 |
宿に戻ってきた |
山小屋風の山ん神さんの離れ |
いつもの黒猫人形 |
ロッジからの眺め |
ここに洗濯物を干させていただいた |
IPhoneだけ持って食事に出かける 宮之浦川 広い川だった |
伊能忠敬の碑 やつは屋久島まで歩いたそうな |
料理屋 小花さん |
屋久杉の柱とカウンター |
貝殻があちこちにいっぱい |
魚を頼んだつもりが 焼きカレーなるドリアが出てきて驚いた 定食だって言ってるじゃん・・ |
宮之浦川の夜景 |
ざっくり写真の紹介で通り過ぎてしまったが、一言添えるならば、屋久島の特産品、トビウオやサバを使った料理をどこかで食べると良いだろう。私は縄文杉トレッキングのあとに、名物「トビウオ定食」を食べる予定でいたので、初日は観光センターの方からおすすめされた料理屋に出かけた。
小花さんという料理屋で、こざっぱりして綺麗な店であった。(味も大変良い)
お腹がすいているので定食を食べたいこと、おすすめの料理を訊ねたところ、
「トビウオか、サバ定食か・・」
「(トビウオは明日食べる予定だから)ほかに何かないですか」
「焼きカレイはどうですか。オーブンで焼いたあとチーズをのせてまた焼くんですけど」
と言われて、随分モダンな魚料理だと思って注文したところ、焼きカレイならぬ焼きカレーが出てきて驚かされた。カレーを焼いたドリア風の洋食だったのである。何かのギャグかと思った。
ちなみに屋久島の夜は、思ったより長いようである。宮之浦の飲食店は8時前後、飲み屋は大体10時頃まで開いている。
翌日は3時起きで、縄文杉を見に出かける。
食事を終えて宿に戻ると、そのまま死んだように眠るのだった。
続く